腰痛・下肢痛のレーザ−治療
腰痛や下肢痛で悩んでおられる皆様、腰椎のずれや辷り症を指摘されたことはありませんか? 痛みと一生付き合わなければいけないと思い込んでいることはありませんか?実際、腰椎のX線写真を見せられると、納得せざるを得ないほどのみごとな変性辷り症。医者も一緒に納得してしまいます。
この事実を紹介します。変性辷り症の患者さんは、痛みを和らげるために前屈みになります。しかし、それは辷りの度合いを大きくする動作にほかなりません。腰椎のずれが大きくても、レーザ−治療で臀部から下肢へのしびれや痛みが改善した例は多数あります。X線写真上は辷り症が治ったわけではないのに。
老化による変形性腰痛症に伴う側弯症も同じです。レントゲン上では見事に曲がっていても、あきらめずにチャレンジしてみてください。
顎関節症のレーザ−治療
食物を咬んだり口を開いた時に、顎関節部に痛みを感じて食事が進まないという方への朗報です。
第14回日本レーザ−治療学会でもいわゆる顎関節症が話題になりました。この病気の原因は歯の咬み合せの異常を始め様々ですが、口の開閉障害、痛み、雑音を特徴とします。痛みは顎関節部に限定されていない場合も多く、片頭痛、三叉神経痛などと診断されていることもあります。
また、口を開けると耳が痛いと訴えるケースもあり、痛みがなく、35〜45ミリ口を開くことができなければ異常です。
治療は歯科口腔外科的には歯の咬み合せの調整。虫歯治療に用いた金属の静電気による、顎の筋肉の過緊張が原因とする説もあります。
原因はともかく、筋緊張が原因の顎関節症には低反応レベルレーザ−治療が著効したと言う報告です。
低反応レベルレーザー治療
レーザーの医療応用の中で人体に損傷を与えることなく生体反応を刺激、活性化させることを目的とする治療法を、低反応レベルレーザー治療と呼んでいます。鎮痛効果がその代表的なものですが、脳出血後遺症や各種神経麻痺、アトピー性皮膚炎への応用など、適応が拡大してきました。この治療法は従来、低出力レーザー治療とよばれていたものです。出力100mW以下が基本で、例え10mW以下でも刺激量として十分なエネルギー量を与えれば、すなわち、照射時間さえ十分でありさえすれば、同様の効果が得られることが分かっています。低出力レーザー光の範囲では出力が高いほど、短時間照射で済むわけです。しかし「高出力」低反応レベルレーザー 治療にはこの法則は成立しません。この新治療法も含め知ってほしい点は、鎮痛作用一つとってみても装置の使用法で有効率が3倍も違う事です。
痛みに対するレーザー治療成績
平成14年、MLF601という低反応レベルレーザー装置で、各種疼痛疾患の治験を実施、その結果を紹介します。
この治療で痛みが軽減したのが、患者さん206人のうち172人(83.5%)。治療回数2〜15回で効果 がでている。その中で有効率が90%以上と特に高いものは、筋筋膜性腰痛症(いわゆる腰痛症)と肩関節周囲炎(五十肩)。ほとんど治療をあきらめているといわれる五十肩の治療成績も飛躍的に向上した。
続いて有効率約85%が、変形性腰痛症と膝関節症の痛み。慢性関節リウマチ、変形性頚椎症(加齢に伴う頚部の痛み)は約75%。また、それぞれ10例以下と少ないのだか、頭痛を伴う肩こりが89.9%。足裏の痛みとテニス肘が100%。逆に有効率が50%以下なのは、腰椎ヘルニアと脊柱管狭窄症だった。
全体では、数年前より治療成績が10%は上昇した。
レーザーによる疼痛治療の現状と将来
平成15年11月に第24回日本レーザー医学会開催。私に与えられたテーマは、低出力レーザーの現状と今後の展望。関西医大の片岡先生はレーザー光の鎮痛効果を、神経細胞レベルでみごとに証明。日大医の小川、佐伯両先生は痛みの専門外来でも必需品と報告。欧米でもリウマチ治療に対する評価が最も確率されているという兵庫医大の揚先生。各領域で専門的知識を持った上で、レーザー光を操ることが絶対必要という認識で一致。CRPSという外傷や手術後の頑固な痛みにチャレンジしている前松山日赤病院の竹吉先生の報告も、さすがプロという印象。
私の報告は不眠、イライラなどの精神症状や自律神経失調症を伴うリウマチの特殊な病態に対するレーザー治療。多くの先生たちから同じような患者さんの治療に苦労している現状報告あり。私の治療法が普及することを期待。
原因不明の疼痛のレーザー治療
原因不明の疼痛で苦しむ患者さんは多く、そのほとんどの方が鬱病と診断されています。
今回は、大阪回生病院の庄司先生による学会報告例を紹介します。@3年前から背部の圧迫感と足の裏のチクチク感を訴え、夜中に突然息苦しさを覚えて目が覚めてしまうという60歳の男性の例。A足の裏の前半分にチクチクした痛みと、ガムが張り付いたような感覚が治らないと訴えた71歳の女性の例。@の例は12回、Aの例は週3〜4日、星状神経節レーザー治療を行って約4か月で改善しています。
我々の経験でも、中年女性で足底部のチクチク感を訴える例は意外に多いと感じています。痛みだけでなく、更年期以降の女性に多い精神不安や憂鬱、めまい、不定部位
の痛みなど自律神経失調を伴う症状には、この治療法がとても有効です。
自律神経失調症のレーザー治療
自律神経失調症をわかりやすく説明するため、いわゆる更年期障害を取り上げます。
更年期障害の初期症状は、顔面のほてり、熱っぽさ、汗っかき、排尿が近くなるなど専門的には副交感神経緊張状態の症状です。その後、自律神経不安定期に入り、月経周期が不正になります。次の段階が交感神経緊張状態です。動悸、手足が冷たく汗が出る。血圧が上がって頭痛や頭が重いなどの症状が典型的なものです。最終的に十年位
経つと自律神経過敏期に入ると言われています。吐き気、めまい、耳鳴りなどがその症状です。簡単に言えば、交感・副交感神経系のバランスの崩れた状態が自律神経失調症です。
低出力レーザー光線は、太い神経繊維である運動神経には影響を与えず、細い知覚神経や自律神経系に作用します。その結果
、不快な痛みや自律神経失調症が改善されるのです。
自律神機能とレーザー治療
自律神経は交感神経系と副交感神経系からなっています。この二つの神経系のバランスが正常に保たれている状態が健康体と言えます。
交感神経優位が過剰になれば、動悸、高血圧、冷え、不眠症、食欲不振、便秘、のどの渇き、胃痛などが起こります。長生き出来ない状態とも言われています。様々なストレスを受けている場合が多いようです。
一方、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を持つ患者さんや肥満は副交感神経優位の結果で、必ずしもいいとは言えません。この場合には過保護にせず適度なストレスをかけたり、運動や乾布摩擦など身体を鍛えることで、交感神経系に刺激を与えることが必要です。赤外線領域のレーザー光は、一般に交感神経優位を改善する治療方です。老化を防ぐ抗老化療法とも呼ばれています。寿命が伸びたという証拠はありませんが。
線維筋痛症候群のレーザー治療
長い間、全身至る所に痛みを感じている方で、毎日疲労感が強く、不眠、逆に一日中眠くてしょうがないと思っている方や、朝のこわばり感、しびれ感、肩こり、頭痛などに悩まされ、鬱病と診断されたり、下痢や便秘を繰り返すことから過敏性腸症候群や、頻尿のため過敏性膀胱と診断されている方も多いかと思います。さまざまな症状があるけれど全身の広範囲な痛みが長く続いている方は一度、この「線維筋痛症候群」を疑ってみる必要があります。
関節リウマチなど他の特に膠原病との鑑別は、臨床検査値に異常が見つからないこと。原因も治療法もまだ見つかっていませんが、症状は交感神経緊張状態によってもたらされていると思います。そこで、我々は、頚部の星状神経節にレーザー照射を行って交感神経緊張状態を改善した上で、全身のレーザー照射を行い、成果をあげています。
頚部のレーザー照射
第15回日本レーザー治療学会が7月初旬に開催され、頚部のレーザー照射とストレッチングというリハビリテ−ション技術を組み合わせた大城博士の治療法がユニークでした。当院でも慢性の難治性疼痛に頚部の交感神経節照射を併用してその有用性を確認していますが、腰椎椎間板ヘルニアに対する有効率の低さが問題でした。大城博士の報告は椎間板ヘルニアに対する有用なレーザー治療技術として期待させるものでした。当院でも早速、試みています。この学会における私の担当は、レーザー治療に一定のガイドラインを作ることによってレーザー治療を正しく評価してもらうための作業です。疼痛疾患に対する除痛効果 は先のヘルニアを除けば、専門医の間では最低でも70%以上の有効率があります。でも正しく使用できないと有効率30%以下にもなりうる難しい治療法なのです。