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新診断基準でリウマチ診療が変わるnew

 従来は、1987年の診断基準に合った場合のみ、リウマチと確定診断すると定められていました。例えば1時間以上続く朝のこわばり、3ヶ所以上の関節のはれ、対称性の関節のはれ、肘、膝などにみられるこぶ(リウマチ結節)、レントゲンによる関節破壊の存在等が必要でした。しかし、この段階まで待っていては遅過ぎます。
 新診断基準では、1ヶ所の関節炎でも他の検査値や症状の持続期間を点数化することで診断できることにしました。同時に、他の膠原病や自己免疫疾患の可能性を否定できる医師のみにこの新診断基準の利用を限定することで誤診を避け、早期診断治療でリウマチの治癒をめざせという強いメッセージを発信しました。リウマチは不治の病という印象を与えた旧診断基準に別れを告げました。死ねない癌とまで言われ続けた歴史に終わりが近いと感じています。 2010.2


リウマチの新分類基準

 これまでの診断基準では、リウマチの炎症は左右対称性で、3つ以上の関節に炎症を起こしていることが確定診断の必須条件でした。片側の手首だけの痛みと腫れで受診しても、リウマチではないと言われることが多く、民間療法に救いを求め、その結果関節が破壊されてしまったという患者さんをよく見かけます。また、リウマチ反応が陰性だからリウマチではない、逆にリウマチ反応が陽性だからリウマチである等の誤解がたくさんあったと思います。
 新診断(分類)基準では、右手関節のみでも腫れを伴う痛みが6週間以上続いていれば、リウマチ反応や炎症反応を参考にし、関節リウマチと診断できます。他の膠原病等の可能性を否定できることという大前提はありますが、新しい診断(分類)基準は、早期治療を可能にし、関節破壊を阻止したいという強いメッセージなのです。 2009.12

リウマチ治療はバイオ製剤時代へ

 欧州リウマチ学会が、リウマチ治療に携わる我々に対し、全てのリウマチ患者さんに、早期に、寛解もしくは低疾患活動性を達成させるようにと目標を明確に示したのです。炎症活動性を頻繁にモニタリングし、高い目標で、最適な治療法を迅速に選択せよというものです。それには、リウマチは不治の病という旧い意識の壁を、治る病気という認識への改革が必要です。かつて、癌の制圧に立ち向かった時代の様に早期発見の重要性と、高額でも強力な早期治療の導入が必要だという社会のバックアップを含めた意識改革です。
 我々はバイオテクノロジーにより、レミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラの4つのバイオ製剤を手にいれました。さらに新薬が続々と登場します。この難病と言われた疾患の克服に向けて世界の頭脳が立ち向かっている革命時代なのです。
 メデイア等での報道も、社会の意識改革に向けた取り組です。2009.11

進行したリウマチの治療

 関節リウマチの治療は、生物学的製剤と呼ばれる画期的な治療法の登場で、発病二年以内にこの強力な治療を開始した場合、約2割の患者さんが治療を止めても再発しなかったという報告が多くなりました。
 リウマチは発症後数年以内に関節が破壊されてしまう難病で、進行したリウマチは、生涯薬物治療は止められないのが定説でした。そのため、進行したリウマチで、生物学的製剤の投与を開始しても、生涯にわたる高額な医療費負担を考えて投与を躊躇さる方が多かったのです。
 最近、日本で、進行したリウマチの生物学的製剤療法も中止できる可能性があるというトリプルR試験の結果が報告され、大きな評価を受けました。この強力な治療により、半年間病気の勢いを完全に抑え込めば、55%が薬剤投与を中止できたという報告です。高価な薬剤でも、約6ヶ月間に限って投与するという選択肢もあると思います 。2009.9

筋肉痛を特徴とするリウマチ

 筋肉痛を訴えるリウマチ性疾患があります。発熱、食欲不振、だるさなどと共に太ももの筋肉痛、両側の上腕部、頚・背部の痛みを訴え来院する方がいます。その場合、関節炎に伴う筋肉痛なのか、筋肉痛そのものなのか、高齢発症の関節リウマチ、多発性筋炎などの膠原病、悪性腫瘍などの合併症がないかなど精査が必要です。
 60歳以上で、朝のこわばり、血沈値高値、うつ傾向などを示す場合、リウマチ性多発筋症が疑われます。頭痛、側頭動脈の圧痛があれば、特にこの疾患の疑いが強いと思います。副腎皮質ステロイド治療が有効ですが、服用を中止することができない場合も多く、継続服用の場合は副作用に注意が必要です。検査的に炎症疾患が全くないのに、全身の筋肉痛を訴える線維筋痛症という病気もあります。うつ傾向の強い方で、多くは自律神経失調症状を伴います。2009.5.17

関節リウマチの痛みの考え

 関節リウマチは多関節の痛みと破壊を特徴とする難病です。しかし、痛みと関節の破壊は一致しません。その為、痛みを緩和することは対症療法に過ぎず、関節破壊抑制作用のある抗リウマ剤治療が全てであるという考え方が生まれました。しかし、患者さんにとって一番辛いのは痛みです。果してリウマチ患者さんを苦しめる痛みの意義は何でしょうか。
 我々は、リウマチの個々の関節における痛みの閾値(レベル)の変化に注目しました。その結果 、レーザー治療で痛みのとれない関節は、検査上では炎症反応が低くてもいずれ破壊されるリスクが高いという結果を得ました。現状の臨床検査だけでは個々の関節の破壊を予知できないのです。特に、臨床検査が正常化している場合の痛みのサインは、患者さんの治療薬(抗リウマチ剤)を見直す機会を教えているのです。

乾燥症状とシェーグレン症候群

 眼の乾燥(ドライアイ)と口の乾燥が合併することがあります。その代表的病気が、シェーグレン症候群です。血液検査で、リウマチ反応が陽性、抗核抗体、抗SSA・SSB抗体が陽性になる等、全身性の免疫異常を伴う病気です。一般的に、疲労しやすく、不眠症、皮膚や陰部の乾燥、眼精疲労、眼の充血、眼痛、胃腸障害、よくカゼをひくとか、副鼻腔炎を繰り返す、歯肉炎、むし歯になりやすく口臭を訴える等の不快症状を伴います。この病気は、関節リウマチ等の膠原病も合併します。頚部リンパ節や唾液腺にリンパ腫が発症し腫れることもあります。
 糖尿病や肝炎等でも乾燥症状を伴う場合があり、検査で確定診断しなければなりません。
 一方、薬剤の副作用による乾燥症状もよくみられます。降圧剤、抗うつ剤、不整脈の薬、パーキンソン病の薬、胃潰瘍薬の薬等を服用している場合には、主治医と相談して下さい。2008.12

関節リウマチの予測

 欧州の早期リウマチ研究グループからの報告では、関節が痛いという訴えで受診した患者さんの中で、2週間以内に診断がつかなかった関節炎を診断未確定関節炎(UA)と呼び、初めて受診した日に、一年後関節リウマチに移行するかどうかを予測する点数化を発表している。点数化する項目は、年齢、女性であるかどうか、炎症関節の大きさ、上肢か下肢か、左右対称か、朝のこわばり、痛む関節痛、腫れた関節数、血液検査でのCRP、リウマチ因子、抗CCP抗体である。例えば、女性で、上下肢の関節が5個痛み、4個腫れて、CRP1、リウマチ因子陽性、抗CCP抗体陽性ならば、一年後には84%の確率で関節リウマチに移行するので、初診時から強力に抗リウマチ剤治療を開始すべきだということです。この段階で治療開始すれば、治癒が望めるということでもあります。2008.10

超早期リウマチの意義

 リウマチ治療の最終目標である治癒が実現可能な目標になってきました。生物製剤の導入による治療革命が起こったのです。  
  生物製剤と従来のリウマチ治療薬が決定的に異なる点は3点です。まずは関節痛や倦怠感など炎症に起因する症状の改善効果発現がすみやかなことです。2点目は従来なし得なかった関節破壊を阻止することです。そして最終目標であるすべての薬物治療を中止できるいわゆる治癒の可能性がでてきた点です。発症2年以内に生物製剤治療を開始したケースにその確率が高いこともわかってきました。  
  最近、発症3ヶ月以内の超早期にこの治療法を開始し、治療も短期間で終了するという試みが始まっています。治療費はかなり高額ですが、仕事や学業が継続できれば メリットが大きいことは確かです。これまで以上に早期診断の重要性が高まっています。 2008.9

リウマチ治療のゴールをめざして

 関節リウマチに対する一般の認識は、20年前までと変わらず、不治の病、身体障害、寝たきりなどマイナスのイメージばかりです。しかし、その後の革命的な治療法の進歩により、現在は9割近くの患者さんが仕事、家事など通常の生活ができるまでになっています。治療を中止できるまでに回復する方は、まだ2割にも満たないのですが、早期に見つかり、適切な治療が開始されれば、治癒率は確実に上昇します。今は、治療費が高額すぎるため、治療法の進歩が一般に還元されないという厳しい現状があり、それを打破しなければなりません。
 完全治癒を目指してアダリムマブ、トシリズマブ、ゴリムマブ、リツキシマブ、アバタセプトなど、新しい強力な治療法が続々と登場してきます。治癒という高い目標を達成するには、今以上に最適な治療法の選択と治療開始のタイミングが大切になります。

診断未確定関節炎の意義

 発症2年以内の中等度から重症の関節リウマチに対してメソトレキセートとエタネルセプトという生物製剤の注射を併用した場合、1年後で4割、2年後で5割が寛解(病気が鎮まった状態)します。
 関節破壊を予防するためにも早期確定診断が大切ですが、関節痛や全身痛のみで、ましてや血液検査でリウマチ因子が陽性というだけでで確定診断はできません。学会が定めた診断基準にのっとり確定診断しますが、基準を満たさない場合、診断未確定関節炎(UA)と呼びます。確立されたデータはまだありませんが、UAの2割程度に2〜3年後にリウマチと診断される患者さんが含まれます。治療開始が遅れないようにするには、UAの段階から定期的な経過観察が必要です。
 UAの鑑別は、更年期障害、変形性関節症、橋本病などの甲状腺疾患、他の膠原病、腸炎性関節炎などがあります。 2008.3