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診断未確定関節炎の意義

 発症2年以内の中等度から重症の関節リウマチに対してメソトレキセートとエタネルセプトという生物製剤の注射を併用した場合、1年後で4割、2年後で5割が寛解(病気が鎮まった状態)します。
 関節破壊を予防するためにも早期確定診断が大切ですが、関節痛や全身痛のみで、ましてや血液検査でリウマチ因子が陽性というだけでで確定診断はできません。学会が定めた診断基準にのっとり確定診断しますが、基準を満たさない場合、診断未確定関節炎(UA)と呼びます。確立されたデータはまだありませんが、UAの2割程度に2〜3年後にリウマチと診断される患者さんが含まれます。治療開始が遅れないようにするには、UAの段階から定期的な経過観察が必要です。
 UAの鑑別は、更年期障害、変形性関節症、橋本病などの甲状腺疾患、他の膠原病、腸炎性関節炎などがあります。 2008.3

リウマチの合併症と治療薬の副作用の違い

 リウマチ治療は、革命的な進化の真っただ中にあります。強力な治療法が開発されたのです。有効性という光の部分がとても明るいだけに、これまで以上に影である副作用に注意しなければなりません。しかし、治療薬による副作用とリウマチ自体の合併症を混同してはいけません。副作用に関する不安感を取り除き、光を目指すには、治療法を熟知した医師の診察を受ける以外ないと思います。
 一方、合併症に関しては、リウマチが関節に限定された病気ではなく、全身病であることを知れば理解できるでしょう。炎症産物が血管に蓄積して動脈硬化が進行し、脳血管障害や心筋梗塞のリスクが増します。 悪性リンパ腫の発現頻度など、寿命に関わる合併症の危険率も上昇します。薬物の副作用以上に、きちんと治療できなかった事による重篤な合併症の発現リスクは無視できな程高いのです。2008.2

抗リウマチ薬を見直す

 関節リウマチは、軽症化しています。そのきっかけとなったのが、メソトレキセート(MTX)と言う免疫抑制剤間欠療法の発見です。
 近年は、生物製剤を発症早期から投与すると、リウマチが治癒するのではないかという期待が高まっています。しかし、治癒する可能性はまだ全体の1割程度です。しかも、MTXの併用がないと高価な生物製剤の効果は半減します。人生を賭ける程の高価な治療法を、全ての人にあてはめるわけにはいきません。
 リウマチ治療を成功させるには、有効性と経済性に優れたMTX、レフルノミド、スルファサラジンなどの抗リウマチ薬の効果を最大限引き出すことが大切です。これらの薬剤により、実際50%以上の患者さんで病気が治ったに近い状態になるのです。それでも関節の破壊が進むリスクがあると判断される場合、生物製剤の投与をすすめます。 2007.12

リウマチと更年期

 関節リウマチ患者さんは、我が国で50万人以上と推計されています。その70%以上が女性で発病は平均45歳位です。つまり、更年期の始まる時期と一致しています。
 更年期には、手足の静脈系の循環障害のため、手指が腫れぼったくなり、手足の関節の痛みを訴えます。患者さんのお話を伺うだけでは、リウマチでみられるこわばりや関節痛とよく似ています。厚生省が定めた早期関節リウマチ診断基準にあてはまることもよくあり、診断は慎重でなければなりません。
 なぜリウマチは女性に多いのでしょうか。欧米では一時、避妊薬のピルを飲むとリウマチが軽くなるといわれたり、女性ホルモンのエストロゲンを投与されたりしましたが、リウマチの発症予防や進行抑制はできませんでした。治療が遅れると、関節が破壊されてしまいます。確かな診断と専門的治療が不可欠です。 2007.11

リウマチは軽症化している

 関節リウマチの経過に関するオランダのリウマチセンターの報告によれば、最近5年間のデータに明らかな軽症化傾向があることが示されました。
 その要因として、
 1.強力なリウマチ剤が早期から積極的に使用されるようになったこと。
 2.診断から抗リウマチ剤使用開始までの期間が短縮されたこと。
 3.鎮痛剤のみではなく、抗リウマチ剤を使う患者数が多くなったこと。
が挙げられています。
 最近では、約3割のリウマチ患者さんの病気の勢いを完全に沈静化できるようになりました。発病早期の患者さんに限っては、リウマチは身体障害を残すという社会の認識は過去の話です。
 残念ながら障害を残してしまった方でも、海外旅行を楽しめるまで回復した方がたくさんおられる時代です。 2007.10

リウマチの痛みの悪循環

 関節リウマチは、慢性疼痛を伴う代表的な疾患です。日常生活や行動の制限、人生の制約などでうつ状態になる頻度が高いと言われています。うつ状態は更に痛みを辛く感じさせ、自律神経機能異常を誘発し、どんどん痛みの悪循環に入って行きます。その際、両親、家族あるいは周囲の医療関係者などが悲観的立場に立つと、皆で悪循環を支えてしまうことになるのです。
 リウマチの問題点は痛みだけではありません。患者さんや家族にとって、痛みを早急にとることが目標になることはやむをえませんが、その点だけに終始すると身体に障害が残る危険があります。関節破壊、変形の進展のリスクを無視した治療や、いわゆる民間療法をリウマチ治療の中心に置いてはなりません。最近のリウマチ医療は、この痛みの悪循環の連鎖を止めるだけでなく、根本治療に向かって進化しているのです。 2007.7

早期関節炎クリニックの意義

 日本リウマチ学会2007で、関節炎症状出現早期で診断未確定の段階の患者さんを登録し、定期的に経過観察する部門を開設したという長崎大学の報告がありました。
 関節リウマチは、早期発見治療で約40%の患者さんが寛解(治癒に限りなく近い状態)するようになり、早期発見の重要性が高まっています。強力な免疫抑制剤と生物製剤の登場によって治療法に革命的な進歩があったからです。  早期に発見された場合に限られると言う条件付きですが、不治の病というイメージは昔の話です。寛解する機会を逃さないためには、リウマチの疑いの段階から炎症活動性を定期的にチエックする必要があります。
 健康保険制度の変化で治療費が非常に高額になったことは大問題ですが、癌医療と同様に早期発見治療でその後の医療費なしの時代が来ると考えればどうでしょうか。2007.6

甲状腺疾患とリウマチ

 甲状腺の病気は、関節リウマチなどの膠原病や多くの自己免疫疾患を併発する傾向があります。甲状腺機能亢進症は特に注意が必要で、一般 には五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎や筋肉痛、手足の指の腫れを認める場合には、関節リウマチを併発しているか精査が必要です。  甲状腺機能低下症も筋肉痛や関節痛をよく起こす病気です。指先に痛みとピリピリ感が起きる手根管症候群を併発することもありますが、これらのリウマチ症状は、甲状腺機能が正常化することにより、多くの場合は快復します。だだし、甲状腺ホルモン補充療法で、リウマチ類似の症状を発現することがあり、注意が必要です。  甲状腺機能異常を過去に指摘され現在は治療をしていないという方が、関節痛や筋肉痛を訴えて来院することがよくあります。リウマチとの鑑別 が必要です。 2007.3

リウマチの関節破壊とはれ

 リウマチの関節症状で、最も重要視されるのは、関節の痛みよりも「はれ」があるかどうかです。はれている関節は、すでに破壊されているか、近い将来破壊される可能性の高い関節です。
 リウマチ治療の目標は、従来は痛みを改善することでした。しかし、免疫抑制剤メソトレキセート、生物製剤の登場により、関節破壊の抑制あるいは修復が目標になってきました。
 延べ1万以上の関節について検討した最新の試験結果によれば、メソトレキセートとエタネルセプト(生物製剤)の併用療法により、破壊が修復されていた関節では、はれも改善しています。一方、はれが持続していた関節では、破壊が進行していました。
 関節リウマチでは、痛みとはれが常に同じ関節に見られるわけではありません。痛みは自覚できますが、痛みがないためはれを放置しているケースも多いので、はれの重大性をもう一度認識して下さい。 2007.1

早期リウマチの診断法

 関節リウマチが発症した初期段階を早期リウマチと呼んでいます。一般 に関節が腫れたり、痛みが長く続くのがリウマチの特徴ですが、発症初期に慢性関節リウマチと診断されることはまれです。それは血液検査を受けても、いわゆるリウマチ反応(専門的にはIgMリウマトイド因子)が陰性のことが多いため、腱鞘炎などと診断されるからです。最近リウマチでは早期から専門的ですが、免疫グロブリンGの糖鎖のガラクトースが欠損していることがわかってきました。この発見方法が抗ガラクトース欠損IgG抗体法で、健康保険適応になり容易に測定できるようになりました。完全なリウマチであっても、従来のリウマチ反応測定法では陽性率70%ですが、新しい検査法では90%以上の陽性率と言われています。リウマチかもしれないと悩んでおられる方は一度、専門医に相談を。