寒冷療法
痛みのある部位に、雪や氷を押しつけて痛みを和らげた経験のある人は多いと思いますが、超低温の乾燥した冷気を患部に吹きつけることによって、さらに著しい治療効果を上げることができます。特に関節リウマチで腫脹した関節の痛みの除去、頭痛や嘔気を伴うほどの頑固な肩こり、スポーツ後の筋肉痛等従来は温めた方がよいと思われたいた病態も、寒冷療法の方がずっと効果が高い場合もあります。その他、皮膚の炎症を鎮めたりかゆみを抑える効果もあるので、アトピー性皮膚炎にもよく応用されます。また、冷気噴射によって一次的には血管が収縮しますが、二次反応として、血管が拡張し局所の血流の増大が起こるため、円形脱毛症に著効することもあります。温熱効果と比べ、応用範囲が狭いことから広く普及はしていませんが、温めてだめなら寒冷療法を試みてはいかかでしょう。
五十肩と関節リウマチ
いわゆる
五十肩は、中年以降に発症する肩関節の疼痛と運動痛制限を特徴とする疾患。広義に肩関節周囲炎と診断されることも多い。特徴的な痛みは肩関節から上腕、前腕外側、母指側への放散痛。主な圧痛点は8ケ所程度で、経過とともに疼痛部位が移動するのも特徴の一つか。初期には夜間、痛みで眠れないこともあり。腕の置き場がない程痛む患者さんも。自然治療を待っていたら後が大変。
一方、リウマチの肩痛は原則的に運動痛で、安静にしていれば軽快する痛み。もちろん他の関節にも痛みを感じたり、朝特に痛みやこわばり感が強く、痛みの程度も毎日変化するなどが特徴か。ただし、肩関節に炎症が限局したリウマチもあり、五十肩との鑑別
に注意。先の特徴をご自身の症状にはめてみて。治療法は五十肩には肩甲骨部棘下筋発痛点レーザー照射。リウマチは免疫療法、レーザーで。
リウマチと燃えつき症候群
燃えつき症候群とは長期間強いストレスの中で仲間や社会などの支えが不十分な場合に、達成感や満足感が得られないため、精神的に燃えつきた状態になることを言います。関節リウマチ患者さんの場合も、治療法が進歩してきたとは言え、完治する病気ではないことから、この状態に陥る危険性があります。関節の変形が進むのではないか、薬の副作用が現れるのではないか。毎日、そんなストレスと相対しながら治療に専念していたら、緊張に耐えられず、よくなりたいという願望も、生きるという気力さえ失ってしまいかねません。身体の疲弊感も危険信号。健康食品を次々と試すなど、病気と闘うだけに毎日を使わないこと。今年の目標、楽しい趣味を見つけ、焦らずに治療を継続すること。リウマチ治療は着実に進歩しているから。その第一弾。抗サイトカイン療法に期待を。リウマチ患者の心血管疾患
関節リウマチで死亡することはないというのは本当か?
今回は少し警告の意味で厳しいデータを紹介します。
米国からの報告によると、リウマチ患者が心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患で入院するリスクは、そうでない人に比べて約4倍も高いとのことです。リウマチ患者の場合、リウマチに伴う炎症がアテローム性動脈硬化症を増悪させるからではないかと推測されています。それでは、リウマチの炎症を徹底的に抑制したらどうなるのか?
現在最も有効な抗炎症剤であるメソトレキセートという薬剤で一度でも治療されたことのあるリウマチ患者は、そうでない患者に比べ、心血管疾患による死亡率が1/3以下であるとのことです。炎症をしっかり抑制することが最重要課題です。いうまでもなく、高血圧、糖尿病、高脂血症など生活習慣病の予防も同時に大切です。
リウマチの早期診断の決め手は?
関節リウマチは一度発症してしまえば数年以内に骨・関節を破壊してしまう難病です。いかに早く見つけ、適切な治療に入るかが将来を左右します。今回はリウマチである確率の高い症状等について解説しましょう。まず、朝、手がこわばる感じが15分間以上1週間毎朝続いた場合、リウマチである確率は67%というデータがあります。同様に、1週間にわたって3ケ所以上の関節が腫れれば、確率は73%。手首、手指、足首または足趾が腫れれば90%リウマチでしょう。関節の痛みよりも腫れが危険信号なのです。
一方、どの関節から始まることが多いかという点では、手首、足趾、膝が最も多く、続いて肩、肘の順です。有名なリウマチ反応が陽性の場合、症状が全くないとしても、その後リウマチとして発症する確率は75%程度と考えられています。リウマチ反応が陽性であるよりも、関節の腫れの方が重大なサインです。
リウマチの関節破壊は発症後2年以内に起こっている
英国研究グループの報告によれば、リウマチ患者さんの75%は症状を発現してから2年以内に関節破壊が起こっているという。その症状で大切なものは、三か所以上の関節のはれ、または、手指や足指関節の痛み、あるいは、起床後30分間以上続くこわばり感のいずれか一つ。早期に治療を始めたグループと治療開始が遅れたグループではX線写
真による関節破壊の進行度に大きな差が出ています。
では、その治療とは、免疫抑制剤を代表とするいわゆる抗リウマチ薬といわれるもので、副腎皮質ステロイド剤や消炎鎮痛剤では関節破壊を抑制しません。抗リウマチ剤の代表はメソトレキセート(MTX)ですが、今年初頭にはこのMTXと併用するとさらに関節破壊の進行を抑制すると期待される注射薬、インフリキシマブの使用が可能になります。発症後急速に悪化するタイプやMTX無効例には朗報。
リウマチの関節破壊を予測できるか
関節リウマチ治療のニ大目標は、全身の関節痛の軽減と関節破壊を防ぐことです。しかし、関節痛をやわらげる治療法が必ずしも関節破壊を防ぐことにつながらない問題点があります。血沈値、CRPなどの炎症反応の改善のみを治療目標に関節痛の改善を目指しても、関節破壊に至る可能性を否定できません。しかし、マトリックスメタプロテアーゼ3 (MMP3) という骨破壊の進展を予測できる有用なマーカーの検査が可能になりました。発病早期からこの値が高い例は関節変形が6か月後にすでに始まるという報告もあります。リウマチ治療の最前線では、これらの指標を使って、個々のリウマチ患者さんの将来を予測しながら、治療法を選択しています。骨破壊を抑制できる薬剤は副作用も強く、使用する場合は副作用対策も同時に必要になります。無用な投薬は避けなければなりません。
リウマチ患者の骨粗鬆症対策
関節リウマチ患者は、健康な人に比べて骨粗鬆症の進行が早く、加齢とともに骨折する確率が急激に高くなります。「関節炎に伴う運動量の低下」と「副腎皮脂ステロイド剤の副作用」がその最大の原因と考えられています。
抗リウマチ薬の進歩によって関節炎は高率に抑えられるようになりましたが、ステロイド剤の使用は逆に増加傾向にあり、問題視されています。
しかし、ステロイド剤は強力な抗炎症作用を持つため、副作用さえ克服できれば素晴らしい薬剤です。我々の施設では、ステロイド剤服用の際には骨吸収抑制剤(数年前から使用可能になったかなり画期的な骨粗鬆症治療薬)を併用することを原則としています。その結果
、加齢とともに必ずといっていいほど減少した骨塩量が、ほぼ全例において増加しました。ステロイド剤の最大の副作用の一つを克服した思いです。
新しい抗リウマチ剤レフルノミド
関節リウマチに対する新薬「レフルノミド」(商品名アラバ)は、現在、最も有効と言われる抗リウマチ剤の「メソトレキセート」を超える有効率を示す待望の新薬です。
免疫抑制的に作用し、関節痛を抑制する他、骨や軟骨の破壊を抑えます。関節の変形をも防ぐ強力な作用を持った新薬ですが、問題は副作用。下痢、嘔気、腹痛、高血圧、脱毛、肝機能障害などに注意が必要です。ただし、従来のリウマチ剤で問題となる間質性肺炎の副作用報告がほとんどない点は注目です。
期待度の高い新薬ですが、使用できる施設が限られており、患者さんも厳密な基準により選択されることになります。しかし、この新薬とほぼ同時に使用可能となった生物製剤「インフリキシマブ」が、非常に高価で、繰り返し入院治療が必要なのに比べ、通院治療が可能であり、費用面でも現実的であると言えます。
抗リウマチ薬の進歩
関節リウマチの治療目標は全身の炎症を抑制し、関節破壊の進行を止めることです。
炎症の程度が軽い場合には比較的安全な抗リウマチ薬で対応可能ですが、発症して1〜2年で関節破壊に至る例も多く、進行が速い場合は、最初から強力な抗リウマチ薬を開始しなければなりません。
保険が適用される治療薬ですとメソトレキセート、レフルノミドが代表的で、効果発現の速さが特徴的です。また保険適用外のシクロフォスファマイド、シクロスポリン、現在開発中のタクロリムスにも期待が寄せられています。
一方、リウマチ治療に革命を起こしつつあるのが抗TNF製剤で、有効率、効果発現の速さなどは他剤をしのいでいます。この薬は副作用の発現率が高く、保険適用でも高価で、定期的入院治療が原則となっているなど問題点もありますが、急性進行例には是非お勧めしたい治療薬です。