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関節リウマチ

関節リウマチとは

 関節リウマチは多関節炎を主な症状とする慢性炎症性疾患です。初期には関節を覆う膜、滑膜に炎症を起こし、治療せずに放置すれば次第に軟骨や骨にも炎症が波及し、軟骨破壊、骨破壊が起こり、変形を来していきます。 リウマチの関節破壊は発症2年以内が最も進行すると言われており、早期発見早期治療が重要です。


関節リウマチの症状
 

<初発症状>
発症早期には、朝のこわばり、手のむくみ感、動かした時の関節痛などを自覚するようになり、続いて関節痛や腫れが持続するようになります。初めから多関節痛を自覚する場合もありますが、単一の関節痛の場合もあります。関節痛は全身の関節に起こりえます。多くは数週間持続する関節痛や腫れとして症状が始まりますが、一部は急性の関節炎として1~数日単位で突然発症する場合もあります。また、回帰性リウマチと言って症状が出たり治まったりをくり返しながらだんだんと持続するようになる発症のパターンもあります。

<全身症状>
 関節リウマチは全身の炎症性疾患なので、全身倦怠感や、微熱、体重減少などを来すことがあります。特に炎症が強い時期はこれらの症状が強く出る傾向があります。しかし、通常は熱が出ても微熱程度で、38℃を超えるような発熱がある場合はリウマチによる熱ではなく他の原因(感染症など)を考慮する必要があります。

関節リウマチの検査

<採血>

リウマトイド因子・・・
関節リウマチ患者の血清の約80%に検出される、IgGに対する抗体です。リウマチの診断や、経過を追うために使われます。しかし、RFが陰性のリウマチも約20%いますし、逆に健常人でも5~15%はRF陽性になります。特に、健常人であっても高齢者はRF陽性者の頻度が高く、他にも慢性感染症、ウィルス感染、慢性肝炎、肝硬変、甲状腺疾患、サルコイドーシス、関節リウマチ以外の膠原病など免疫グロブリンの上昇する疾患ではRFが陽性になりやすいので注意が必要です。そのようなことに注意しながら測定するのであれば、RFは大変有用な検査です。RF陽性のリウマチは陰性のリウマチよりも関節破壊の進行が早く、関節外症状を来す傾向があるなど、予後予測因子としての意義も大きいです。

抗CCP抗体・・・
関節リウマチ患者の関節滑膜に発現している、シトルリン化蛋白に対する自己抗体です。関節リウマチを発症する以前から検出され、発症が近づくほど保有率が高まることがわかっています。すなわち、発病早期でリウマチの分類基準を満たさないような関節炎例の早期診断に有用です。また、抗CCP抗体が陽性のリウマチは陰性のリウマチよりも関節破壊の進行が早く、リウマチの予後不良因子となります。RFはリウマチの活動性を表し治療により変動しますが、抗CCP抗体は現時点では日常診療で測定する回数に制限があるため、治療による変動があるかどうかは明らかではありません。基本的には診断時に測定される項目です。

MMP-3・・・
線維芽細胞や滑膜細胞、軟骨細胞から分泌されるたんぱく分解酵素で、関節リウマチ患者の軟骨破壊に関わっています。関節リウマチで増殖した滑膜表層細胞からMMP-3が産生されるため、リウマチの炎症が強く滑膜増殖の量が多い時に高くなります。早期例では血清MMP-3濃度が高いほど関節破壊の進行が早く、予後予測因子となります。MMP-3は乾癬性関節炎やリウマチ性多発筋痛症などのリウマチ性疾患でも高値を示すことがあるので、リウマチの診断に使う検査としては特異度が低くなりますが、治療の効果判定として使うには大変有用な検査です。

炎症反応・・・
赤沈とCRPが炎症の程度を知るために使われます。赤沈(赤血球沈降速度)とはガラス管内を赤血球が沈んでいく速度のことで、CRPとともにリウマチの疾患活動性の悪化に伴い上昇します。CRPの方が赤沈よりも反応が早く、リウマチの活動性が上がるとまずCRPが上昇し、続いて赤沈が亢進します。両者を用いてリウマチの疾患活動性の評価を行います。

<レントゲン>

関節変化を把握するために重要な画像検査です。リウマチの関節破壊が進行していくと、関節裂隙の狭小化、骨委縮、骨びらん、骨破壊、骨癒合などが起こってきます。関節破壊進行の有無を判定するため、当院では少なくとも1年に1回は撮影し、発症早期など場合によっては半年毎に撮影することもあります。レントゲン上の関節変化によってリウマチの進行度が判定されます。

<関節エコー>

主に滑膜炎の程度、骨びらんの有無を評価するために用います。早期発見、早期治療が重要なリウマチですが、血液検査とレントゲンだけでは診断に結びつかない場合があります。発症早期にはレントゲン上の変化は見られないこと、血液検査上RFや抗CCP抗体が陰性のリウマチもあること、そして局所的な滑膜炎の場合はCRPなどの炎症反応が上がらない場合もあることがその理由です。そのような場合に関節エコーを行うことで、局所的な滑膜炎を捉えることができたり、レントゲンでは見られないような早期の骨びらんを発見することができ、リウマチの早期診断につながります。より早期にリウマチを診断するために、関節エコーは欠かせない検査です。 また、治療の評価をするためにも大変有用です。血液検査上の炎症反応が上がらなくても、実際には滑膜炎が起きている場合があります。痛みや腫れが長引く時には、CRPが0でも関節エコーを行います。

関節リウマチの診断

   

2010年に欧州リウマチ学会と米国リウマチ学会の共同作業で改訂された関節リウマチ分類基準を参考に診断します。診断する上で重要なことは、長引く滑膜炎があるかどうかです。分類基準を満たさなくても、診察や画像検査上滑膜炎を認める場合はリウマチと診断します。レントゲンや関節エコーでリウマチに特徴的な骨びらんを認める場合も同様です。

診断基準

関節リウマチで起こりうる合併症・関節外症状

   

<間質性肺炎>

リウマチの経過中生じる重要な関節外症状です。その頻度は報告により5~30%と様々です。リウマチそのものによる肺炎の他、薬剤性肺炎や感染症による肺炎との鑑別が重要になります。慢性経過をとる間質性肺炎の場合は治療の対象となりませんが、急性に増悪する場合はステロイドを中心とした治療を行います。間質性肺炎の有無やその重症度によりリウマチの各種治療薬の選択が変わるので、リウマチの治療開始前には胸部レントゲンを撮影します。また、経過中もその増悪がないかどうか、薬剤性肺炎が起こってこないかどうか、年に1回は必ず胸部レントゲンを撮影します。

<悪性リンパ腫>

一般集団と比較して高頻度に発症すると言われています。そのリスクはリウマチの自己免疫異常、慢性炎症、遺伝的な要素、加齢に加え、メトトレキサートをはじめとする薬剤の影響が指摘されています。症状としては、リンパ節腫脹、発熱、倦怠感などが現れます。メトトレキサート使用中にリンパ腫を発症した場合、薬剤中止とともにそのリンパ節腫脹が改善することもしばしばあります。

<骨折>

一般集団と比較して、大腿骨頚部骨折は2.0倍、脊椎骨折は2.4倍多いと言われています。リスクとして10年以上の長い罹病期間や、ステロイドの使用が挙げられます。また、リウマチの疾患活動性が高いとそれだけ骨粗鬆症が進むので、リウマチの炎症をしっかり抑えることが骨粗鬆症の予防に大切です。


※ 関節リウマチについて、現在リニューアル中です。
 これまでの関節リウマチについての情報は、「関節リウマチ」をご覧ください